全国にあるAOKI・青山の店舗をざっくり分析してみる

前回はQGISを使ってAOKI、青山の店舗と道路データを表示させました。
今回はQGISの分析機能を使って、店舗位置関係をざっくりですが定量的に調べてみたいと思います。

具体的にはAOKIの近傍にある青山の店舗の抽出と各店舗の近傍にある道路との距離測定を行っていきます。

【目次】

 

 各店舗レイヤの投影法の定義

各店舗レイヤの座標系はJGD2000の緯度経度で表される地理座標系であるため、投影法を定義します。

投影法を定義することで、店舗間距離測定等の空間演算処理で「m」といった馴染みのある距離単位を使用することができます。

f:id:hhgingisland:20180526175707p:plain

今回、投影法は「UTM54N」にします。

UTM54Nは上図の青線内の地域(東経138-144度)、大体長野県や静岡県あたりから北海道までを投影対象としています。このため、全国の都道府県をUTM54Nで投影すると、投影対象範囲外の県では歪みが大きくなると思われます(範囲外に対しどのような計算をしているか不明)。

今回は近傍の地物(店舗や道路)の距離を測定していくので、近傍にあれば歪みの大きさは同じだろうと思い、全国の地物に対してUTM54Nで投影します。

(実際は当初関東だけを対象に分析をしようと思っていたのでUTM54Nで設定しており、それをそのまま使用したというだけです。。。)

投影方法は、保存対象のレイヤを右クリックして「名前をつけて保存」内の「CRS」で投影法をJGD2000 / UTM zone 54N (EPSG: 3100)として保存します。

f:id:hhgingisland:20180526180939p:plain 

同様に地理座標系であった道路レイヤもJGD2000 / UTM zone 54N (EPSG: 3100)に変換します。

なお、道路レイヤ内にある高速道路データは新しいデータ(高速道路時系列、前回記事のピンク線のデータ)に入れ替えて使用しています。この入れ替える方法については違う記事に記したいと思います。そのまま道路レイヤ内にある高速道路を使用しても結果に大きな違いはないと思います。

 

 AOKIの近くに青山があるか調べる

分析方法概要

AOKIの店舗レイヤに指定した距離のバッファ処理をし、そのレイヤと青山の店舗レイヤが交差するAOKIの店舗数を数えていきたいと思います。

「近くにある」の距離の定義

個人的な感覚ですが、徒歩10分以内でいける500mから車で10分以内にいける5kmの範囲が「近くにある」のではないかと思いました。

なのでこの2つの距離を用いて調べてみたいと思います。

バッファ処理

バッファ処理は対象とするポイントから指定した距離の範囲内を示すポリゴンを生成します。

コントロールパネルの「ベクタ」→「空間演算ツール」→「固定距離バッファ」をクリックし、以下の画面の「距離」に500を入力します。

「バッファ」にレイヤの保存場所を指定し、「Run」を押すと、バッファ処理されたレイヤが生成されます。

f:id:hhgingisland:20180526181228p:plain

AOKIから500m以内に青山があるようなAOKIの店舗数を導出

空間検索を用いて該当する店舗を抽出します。

コントロールパネル→「ベクタ」→「空間検索」→「空間検索」をクリックし、下の画像のようにバッファ処理したレイヤを選択、地物の場所を「交差」にし、地物の参照に青山の店舗レイヤを入力します。

f:id:hhgingisland:20180526181433p:plain

適用を押すと以下のように、AOKIの577軒中141軒となりました。

個人的にはもっと多いかと思っていましたが、500m以内だとこんなものなんでしょう。

f:id:hhgingisland:20180526181636p:plain

同様に、AOKIの5km以内に青山があるようなAOKIの店舗数を調べてみると、577軒中554軒あることがわかりました。

以上の結果からAOKIの店を見かけたら、

  • 約25% (141軒÷577軒より) の確率で、徒歩10以内の近距離に青山がある
  • 約96% (554軒÷557軒より) ほぼ100%の確率で、車で10分走らない距離で青山を見つけることができる

と言えます。

 

 国道沿いにAOKIと青山があるか調べる

次に、AOKIと青山が国道沿いに立地しているか調べてみます。
分析方法は前述のAOKIと青山の位置関係を調べた方法と同じように行います。

「沿いにある」の距離の定義

道路レイヤや投影法による歪み、店舗位置と道路までの実際の距離(道路沿いに店舗があっても入り口前に駐車場がある場合など)を加味して200mに設定します。

バッファ処理&空間検索

AOKIと青山の店舗レイヤに200mのバッファ処理をします。

次に、空間検索対象として国道を指定したいので、道路レイヤから主要地方道を除外したレイヤを作成します。

レイヤパネル内にある道路レイヤを右クリック→属性テーブルを開く→コントロールパネルの「式による選択」をクリック。

f:id:hhgingisland:20180526182242p:plain

主要地方道は「N01_001」属性の属性値「3」を示すので、上図のように"N01_001"  =  '3'と式を入力・適用した後に、コントロールパネルの「選択結果を反転する」をクリックし、主要地方道以外の道路を選択します(高速道路も含めています)。

選択結果を別レイヤとして保存します。

空間検索により、国道から200m以内にあるAOKIと青山の店舗はそれぞれ以下のような結果となりました。

  • AOKI:215軒 / 575軒 → 37%
  • 青山: 396軒 / 812軒 → 49%

マップ上だとほとんどの店舗が国道沿いにあるという印象を受けていたので、意外と少ない結果でした。

しかしよくよく考えてみると、県道などの地方道も大きな道路は多くあり、その道路沿いにも店舗はあるだろうと思い、主要地方道も入れて検索し直してみます。

ちなみに、下図のように地方道データ(紫色の線)は分布しています。

f:id:hhgingisland:20180526183123p:plain

主要地方道を入れて再検索した結果は、

  • AOKI:365軒 / 575軒  → 63%
  • 青山: 555軒 / 812軒  → 68%

となりました。

やはり地方道を入れるとヒットする件数が増えます。
AOKIも青山も6~7割程度の店舗が国道および主要地方道沿いに分布しています。その他の店舗は道路レイヤの位置や店舗位置の誤差により、実際に道路沿いにあるのに200m以上離れてしまっているケースと、ここで示した道路と違う道路沿いに分布しているケースがあります。

どちらのケースが多いか判断するのは難しい(できない?)ですが、主要地方道に含まれないが比較的交通量の多い道路や最近できた道路(使用データは20年前)沿いにできた店舗が多く検索に漏れてきているのではないかと思っています。

いずれにせよ、AOKIと青山は過半数が交通量の多い主要な道路沿いに分布していることから、そのような場所を狙って出店しているのだろうと考えられます。

 

 まとめ

今回はざっくりとですが、定量的にAOKIと青山、そして国道との位置関係について調べてみました。

調べてみた結果、

  • 4軒中1軒のAOKIで、すぐ近く(500m、徒歩10分以内)には青山の店舗がある
  • ほぼ全てのAOKIで、近く(5km、車で10分以内)には青山の店舗がある
  • 国道沿いにあるAOKI、青山の店舗は全体の約4~5割程度
  • 主要地方道を含めると、それら道路沿いにある店舗は全体の6~7割程度

ということが分かりました。

 

記事1でたてた仮説【「AOKI」の近くに「青山」がある】は合っていたのではないかと思っています。

仮説【「AOKI」と「青山」は田舎の国道沿いに多くある】については、確かに半分程度の店舗は国道沿いに分布しているが、それ以外の地方道といった道路沿いにも多く分布している、と修正することができました。

 

次回の記事では、分析範囲をUTM54N内に絞り、もう少し詳細に調べてみたいと思います。