関東・東北にあるAOKIと青山の店舗位置関係を分析してみる
前回は全国のAOKIと青山の店舗位置関係をざっくりと調べてみました。
今回は分析範囲をUTM54N内に絞り、前回より詳細に両店舗の位置関係について調べていきたいと思います。
具体的には、
ということをしていきます。
【目次】
分析範囲を絞る
今まではUTM54N範囲外に位置する地物もUTM54Nとして変換していました。
今回はそのような無茶なことはせず、UTM54N内にある関東・東北地方の店舗を対象に分析します。
UTM54内にあるAOKIと青山の店舗を抽出するために、下図のようなUTM54Nの東西縁に沿った灰色のポリゴンを作成し、空間検索を用いてこのポリゴン内の店舗を抽出し、今回の分析対象店舗レイヤを作成しました。
なお、ポリゴンを作らなくても店舗レイヤに緯度経度情報がのっているので、属性テーブル上で「式を使った地物選択」により緯度経度の範囲指定をすれば分析対象店舗を抽出することができます。むしろこちらの方が楽です(この記事を書きながら思いついた。。。)
プラグイン「NNJoin」のインストール
NNJoinプラグイン(https://plugins.qgis.org/plugins/NNJoin/)は、入力レイヤ内の地物に最も近いターゲットレイヤ内の地物との距離を導出してくれる素晴らしいプラグインです。
このプラグインを用いることでAOKIの各店舗とそれに対応する最も近くある青山との店舗間距離データを取得できるため、前回の記事より詳細な分析が可能になります。
コントロールパネル内の「プラグイン」から「NNJoin」と入力しインストールします。
NNJoinによる店舗間距離データの取得
入力レイヤにAOKIの店舗レイヤ、検索対象のレイヤに青山の店舗レイヤを設定します。
「OK」を押すと、新たなレイヤが出力されます。レイヤの属性テーブルは下図のようになり、入力レイヤの属性値の後に、各店舗に最も近い青山の店舗情報(属性値)と距離データが書き込まれます。
ヒストグラムの作成
店舗間距離データを取得できたのでヒストグラムを作ってみます。
こちらのサイト(https://bellcurve.jp/statistics/blog/15352.html)を参考にエクセルで作成しました。
取得データとヒストグラムから以下のことが分かります。
- 500m間隔で区切ると500m以下の店舗間距離である店舗数が一番多い。
- 3.5km以下の店舗間距離である店舗は全体の9割を占める。
- 10km以上比較的離れた距離にある店舗は2軒ある。
前回の分析でも述べましたが、AOKIを見つけたら車で10分以内に行ける距離に青山があることが言えます。
中でも徒歩10分以内で行ける近い距離にある青山が最も多いことが今回の分析で分かりました。
さらに10km以上離れた距離にある店舗2軒は、AOKIが青山のいない商圏で商売していると考えてもよいでしょう。
元々は青山も近くにいたが商売に負けて撤退したとか、既に他のスーツ販売店が出店しており、参入の余地がなかったのか、など色々考えられます。
数少ない青山という競合が近くにいない特徴的で面白い店舗です。
ちなみに下図の黄色点が該当するAOKIの店舗です。
各店舗と近傍にある道路との距離データの取得
同様にNNJoinを使って、近傍の道路との距離データを取得します。
国道(高速道路含む)だけの場合と、国道と主要地方道を両方含めた場合の2パターンで距離を導出しました。
ヒストグラムの作成
国道(高速道路含む)との距離のヒストグラム
先ほどの結果からもAOKIと青山は近い位置にあるので、上2つのグラフは似たような形になっています。
分布数が多いのは、距離が100m以内および1km以上の範囲のもので、それぞれ全体の30%程度を占めています。1km以上離れている店舗は、確実に国道沿いにはなく、地方道などの異なる道路に分布していると考えられます。
主要地方道も含めた全ての道路との距離のヒストグラム
主要地方道を含めると、道路との距離が100m以内の店舗が大幅に増加し、1km以上離れた店舗数が大幅に減少しているのが見てとれます。
100m以内の店舗が両社ともに概ね全体の5割程度、200m以内が6~7割程度となっています。
前回の記事で200m以内を道路沿いにある店舗と定義しましたが、今回作成したグラフから200mという設定で悪くはなさそうだなという感じです(100~200mに含まれる店舗数も15%程度と2番目に大きなウェイトを占めているので)。
以上より、主要な道路から200m以内に6~7割程度の店舗が分布していることから、AOKIと青山は交通量の多い道路沿いに多く出店していると考えられます。
まとめ
今回はヒストグラムを作成し店舗間距離データ、店舗と道路間距離データの分布状況を明らかにしました。
基本的に前回の記事で考えていたことを変わりませんが、ヒストグラムを作成することで、
- AOKIと青山の店舗間距離が500m以内である店舗が全体で最も割合が多い
- ほぼ全てのAOKIで、近く(5km、車で10分以内)には青山の店舗があるが、東北・関東エリアでは2店舗が周りに青山がいない(15km以上離れている)エリアに出店している
- 店舗と道路間距離は100m以内の店舗が全体で最も割合が多い
というようなことが分かりました。
ひとまず今回の分析で終了としますが、記事を書いている時に、QGIS上で人口分布を入れたりしたら面白い発見がありそうだな等のアイデアが浮かんできたので、また色々いじっていけたらと思います。
ふとした疑問をプログラミングとソフトを使って色々検証できて面白かったです。勉強にもなりました。
このようなブログを書くのははじめてでしたが、内容がうまくまとまらず自分の文章力のなさを痛感しました。日々ブラッシュアップしていきたいと思います。
ここまで読んでくださった方、まことにありがとうございました。