【読書】死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

去年の秋頃ネットで話題になっていてすぐ買ったが結局読まなかった本。最近部屋を掃除していたら発見したので読んでみることにした。そして読み終わった日にヤフーニュースに本事件のことが載っていてタイミングの良さに驚いた。なんでかなと思ったが事件が起きてからちょうど60年が経ったからだった。

本書の題名になっている「ディアトロフ峠事件」とは、1959年ロシア西部の極寒のウラル山脈で起きた遭難事件で、登山経験豊富な9人全員が犠牲になった。9人全員が安全なテントから1kmも離れたところで発見された。
雪山にも関わらず全員靴を履いておらず、あるものは頭蓋骨骨折、あるものは舌が喪失、あるものは衣服がずたずたにされ、衣服から高濃度の放射線が検出された。そして当時の警察による最終報告書は「未知の不可抗力によって死亡」と結論づけられた。
このような奇妙の状況のため事件当初から現在まで様々な事故原因が考えられた。雪崩説、強風説、現地少数民族の攻撃、ソ連軍や脱獄囚による攻撃、旧ソ連の兵器実験の影響、UFO説など。
筆者はこの奇妙な謎に魅せられ、関係者への取材や事件現場となった冬の「ディアトロフ峠」の登山を通じて、考えられる最も現実的な事件を真相を説明する。というのが本書の概要である。

本書の構成は、犠牲となった9人の若者の登山道中の様子、遭難後救助に向かった捜索隊の様子、そして筆者の調査、これら3つの話が章ごとに変わっていくスタイルで、読み進めていくと事件の様相がよくわかってくる。それだけでなく、9人(正確にいうと10人)の登山隊の人物像や登山中の様子、雪山の寒さ・暗さ・怖さなどの情景がありありと伝わってきて、ただの謎解き本で終わってないところが本書の面白さだと思う。
もちろん本事件の真相についても面白い。最後の章に筆者が唱えた仮説のもと、事件発生時の9人の登山家の行動を描いている。読んでみて違和感はなく、確かにそうだったのかもな、と納得した。事件の真相ググったら分かってしまうが、本を通しで読んでいった方が納得するのではないかなと思う。